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印内美和子さんと同人「カプリチオ」の合評会の時にお目にかかり、親切に言葉をかけて頂きました。私は新参者なので、と言いつつもはや何年か。でも、ぴよぴよなのには変わりなく、印内さんにおいでおいでと言われて、一緒にお酒を飲んだりしたのですが、そのときは印内さんの作品を存じ上げなかったのです。失礼にも、そのことを申し上げましたら、後日ご本を送って頂きました。
とても驚いたのは文体です。一見気がつかないのですが、半ページも読めばザラメのように口に残ります。それがまずさというのではなくて、裸足で土の道を歩いている感じに近いのです。ああ土はこういう感じだなあ、というのに似て、人間はこういう感じだなあと伝わってくるのです。そして、人間ってやっかいだなあ、生きるのはしんどいなあとしみじみと思いながらも、陶器に残った口紅の紅よりも、冴え冴えと陶器が白く見えるように、あでやかな個々の人間の姿の向こうに、個別には語りきれない人間というものの姿が浮き上がってくるのを感じて、私なんかぴよぴよと鳴くしかないなあと、思いました。
同人「地軸」は、いつも頭を垂れてしまう方々の集まりです。「地軸」に小説を書くのは私ぐらいで、それもずっと書いていないのですが、ほかの皆様は研究や、ちいさな論文や、考察を書いています。そこには学徒という精神があって、ほんとうは先生たちなのに、私は自分のだらしなさやいい加減さをいつも、反省しつつ、でも、相変わらず毎年、どうにもならないことを繰り返しているのです。その、同人の方が出版なさいました。さすがに、半端ではありませんでした。
まあこれを書くためには、どれだけの資料を厚め、それを読み解く時間をかけたのだろうか。研究者は、そういうことに労力を惜しまない。ということを思い知らさせる。著者は1954年生まれであり、1983年という割合早い時点から、女性の少年愛嗜好というテーマに取り組んできた。それも、ポップカルチャーとしての興味からではなく、この嗜好の持ち主としての自己探求の思いがあったことと、メディア等で語られるこの現象にたいする言説に違和感があったからだと、著者はいう。つまり、自分の気持ちとを杖に、メディア敵に回して、こつこつと調べていったんだな。森茉莉から始まり、少女漫画、ジュネ。やおい現象、ボーイズラブ。おこげ。そして、母なるもの、父なるものへのファンタジーを、と次々に深層へと薄皮を剥ぐように進む。たくさんのインタビューとおおくの女性たちの助言が、この本を作らせたというのがとてもわかった。
印内さんの本も、水間さんの本も、しみじみと女性ということを感じさせられる本で、そういうことを粛々としている静かなおふたりは、私にとって力強い先達なのでした。いつまでも、ぴよぴよではいけないんだよなあ。
2/22/20:29 ラブアンドピース 製本の続きじゃなくてごめんね。それはいずれ近々に。
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